マネ展&茶器展行ってきました。
それぞれ三菱一号館美術館と出光美術館で、場所が滅法近いので、はしごしやすくて便利。
○マネ展
で、マネ展はなかなかよかった。難点は導線が分かりにくいのと、小さな部屋の連なりでテーマが分断されがちなことかな。
展示の流れはマネの絵を時代順に並べて、その時々の社会背景も他の展示物で説明しようというもの。
大きな絵(マネの気合いの入った絵)も沢山あったし、有名じゃないけど良い絵も沢山あった。
写真資料も建築画も、目に楽しく、かつ時代の雰囲気がよく伝わるものばかりで、わかりやすい。
そう、マネの時代は、社会体制がころころ変わるとても難しい時代。単語としては知っているけど、きちんとは解らない歴史用語たっぷりで(笑)だから、マネの作品と時代との関わりがきちんと説明があって、有り難い。
マネの絵は、とくに若い頃は、当時の人達に向けられ、しばしば当時の当たり前の芸術の習慣への挑戦だから、そういう類の絵は、現代人が思うままに見ただけでは理解しにくいと思います。
ですが、絵に対する文字情報はかなり少ないので、ちゃんと音声ガイドを聞いた方がより理解できるかも。とくにマネみたいな人に対しては。
心打たれるのは、やはり戦争画かもしれません。
オスマンによるパリ改造計画で、近代的な新しい建築が建っていく時代に生まれて、それがプロイセンとの戦闘で壊れてしまうのを目の当たりにしたというマネ。
ただ、まろりーにとって、そうした絵の、パリの市街戦で破壊された街と傷ついた人の描写が痛ましいという以上に、マネの中のゴヤの影が濃いのに心動きました。
戦争に関連したリトグラフなどを見ると……パリコミューンに参戦したマネの心には確かにゴヤが響いていたのが分かります。もともと、ゴヤだけでなく本歌取りを好む人間ですが。
おそらくは、これは想像ですが、戦時中マネは絵を描く時も描かない時も、常にゴヤを念頭においていたのかも知れないとそぞろ思った。ナポレオンの侵略戦争に見事に巻き込まれたゴヤと自分を重ねてさえいそうな。
ゴヤの同種の絵の方が、キレてて凄みがありますが、まあ、その辺は多分、フランス人とスペイン人の差かな?
マネのスペイン趣味は初期から見られて、スペインに行った事がなかったのに空想で闘牛の絵を描いてみたり(正直そんなに上手くない!(笑))、色彩も人物もスペイン風な踊るカップルを描いてみたり。
中でも、マネが時々版画をやるのは、ゴヤの影響も大きいのではないかとも思いました。
スペイン風の女性を描いたアクアチントは、かなりのゴヤ感。
弟子のモリゾを描いた肖像画でもちょっとゴヤっぽいのがあったり…。
そもそもモデルに好んで黒服を着せるのもスペイン趣味か。
展示全体でマネのスペイン趣味を感じた展示でした。
あと、モリゾを描いた絵を見ると、マネは女性を美人に描こうとか、逆に内面を強調しようとかも思わなかったみたい。
ポストカードは正直的外れ…で買うものがなかった。
この展示最後のとりを飾っていた最晩年の足の絵のポストカードを買いました。スカートの裾から組んだ足が見える。これが最後でいいの(笑)
○出光の茶器
出光らしく癒し系でした(笑)
いわく、煎茶といふは中国風の茶の楽しみ方であり、たしか文人に愛好されて、バーチャルな理想世界との媒体となる、と。
直前のマネには無い感覚です(笑)マネはアグレッシブな方で人を癒そうなんて精神は皆無です。
チェルシー釜の柿衛門写しがやっぱり笑える。
東洋の憧れから、ティーポットに柿衛門風の梅風の植物を描くイギリスはチェルシー釜。良く写してあるけど、つまみの可憐で愛らしい薔薇の花が…クールな柿衛門模様と全く合っていない。前にもチェルシー釜の磁器で柿衛門+可憐な洋風ワンポイント=ださい、というものを見たけど、イギリスの柿衛門写しは皆そうなのでしょうか?イギリスはそれでいいのでしょうか?
しかし、陶磁器には夢がいっぱい詰まってていいです。
素敵なモチーフに出会いました。
「弾琴観瀑図」といいまして、雄大な自然の中の滝を見ながら琴を弾く、なんていう茶人の素敵な妄想絵です。
滝の音で琴の音は耳に聞こえなくても、心に響くのだそう。