○フランク・ブラングィン展
これを見て人生や価値観が劇的に変わる、というものでも無かったけど、まあ良いもの見たなっていう感想です。
なかなか面白い絵を描く人で、大きな油絵は、大きな取り取りの色の平らな塊をざくざく画面に乗せていって、人や物をあらわすなんていう筆遣い。印象派のようにぼやけることもなく、むしろ輪郭線をしっかり取って、印象ではなく、頭で描くタイプ。
もともとはデザイナーということで、確かに装飾的な画面。その装飾性より、やっぱり色遣いの妙がなかなか見ていて楽しかったな。
もっとも好む色づかいは、ターコイズブルーと蛍光オレンジをぶつけるもの。対比はエネルギッシュながら単純に美しいものです。
テーマもそこそこファンシーなものもあり。船と労働者が大好きなモチーフだったようです。
まあ、労働者の絵は、好みでない。いわゆる・・・プロレタリア的な香りのする、労働の過酷さと崇高さを表現した、小汚い(笑)絵です。
最初期に描いた、ごくごく普通のまじめな油絵(<海上の葬送>とかそんなタイトル)からは、題名からして大画家になれるような片鱗はうかがえず、まあ、あのまま大きな色班を用いた画風に変わらなければ、素人の趣味で終わりそうな、しょっぱさでした。
版画・・・エッチングだったか・・・もやる人で、遠くからみると、構図や光と影のコントラストは美しく素晴らしい。が、近くで見ると、線は無秩序にがさついて、またもプロレタリアの臭いがして、そんなに綺麗でない。多分、端正さは好まなかった画家なんだろうなー。
目玉とされていた絵が、やはり一番素敵だったかな。
木陰に憩う白鳥の大画面。
色彩で木漏れ日が表現され、色彩で質感が表現される。
白鳥の重々しさとふかふかな空色の羽。翼の日に透ける蜜柑色の描写など。
半分以上は、同時開催の常設展内の水彩素描を見に行った。
シニャックが上手で良かった。
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