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○なんせんす・さむしんぐ○

美術や音楽の感想とか、動物中心のイラストのブログ。

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フォルクレ→ジュピテル→ウェルギリウス→ラテン語

電車の中でつらつら下のような考え事をしていたら、長くなった。長いので注意!何に注意するかは各人に任せますが。


 まろりーには絵画と音楽とを結び付けて考えてしまう癖があるのですが、これまでフォルクレについては何か特別に絵を喚起されることはありませんでした。
 が、最近になって取り憑かれているまるで曖昧な考えがありまして……。
 まろりーがフォルクレの曲で連想するのは、雷、風、嵐、梢高く日を陰らす針葉樹の森、などといった単語です。
 何処かで見た語の並びだと思ったので、記憶を辿ってそれを探してみる。
「断崖、山岳、急流、狼、雷鳴、サルヴァトル・ローザ。」(byウォルポール)
 そんな感じで「前略、雷…フォルクレ?」と思うに至った訳ですが、肝心のローザの絵はそれほど見たことがなく、いわばローザらしさの何たるかを体得していないので、断定出来ずにいます。
 それに、ローザといえば「ピクチャレスク」の画家。
サルヴァトル・ローザ<猟師と戦士の居る岩場の風景>

 ピクチャレスクは、直訳すれば「絵画的、絵らしい」で、ピクチャレスク絵画というのは、人知を超えた荒々しい自然や、時の作用で崩れていく人工物=廃墟などを描くファンタジー絵画のこと。
 18世紀に流行った訳ですが、音楽指してピクチャレスクとは、新鮮味のない洒落を狙ったレトリックみたいで、確信がないままの結論としてはフォルクレ相手に甘い気がする(笑)
 まあ、フォルクレが絵のようだというのではなくて、嵐の不穏な雰囲気だとか、黒い雲間に射す光の刺激だとか、頬にぶつかる熱を孕んだ風だとか、それに吹かれてしなる木と唸り声だとか、そんなイメージとかノリがピクチャレスク絵画に似ている、つまり美学としては同根なのではないかと。
 難しくなってきた。美学は苦手です。
 ピクチャレスク絵画と繋がっているとすると、ピラネージとかどうかな。若干時代はずれますが、あの空想的な牢獄とか、崇高な感じのするしつこいまでのローマの廃墟とかの版画。
ピラネージピラネージ<牢獄カプリッチョ>
 どっちにしろ、ロマン過ぎて確たる根拠もなく言うのは痛々しくて恥ずかしいわ(笑)
 でもフォルクレって、ローマの廃墟好きそう。台風とかでテンション上がってそう(笑)
 という訳で、ピクチャレスク絵画について、多少勉強したいと思います。

 あと、単純なイメージとしてはオランダのマニエリスト、ホルツィウスの版画。あのゼウスの雷に撃たれてタルタロスへ真っ逆さまに落ちていく人体。神経を逆なでする感じや、超絶技巧な線とか、アクロバットなポージングとかを連想しましたが…。ホルツィウスよりかはずっと気品があるね。
http://images.google.co.jp/images?hl=ja&lr=&rlz=1T4GGLD_jaJP308JP308&um=1&sa=1&q=Goltzius%E3%80%80Tantalus&aq=f&oq=&start=0


 そんな感じで、フォルクレの「ジュピテル」って曲を(弾けるだけは)弾きたいと計画しています。弾ける気はしませんが、まあ、雰囲気だけでもと。
 このジュピテル、まろりーは未だかつてこんなに格好いいユーピテル様を見たことがありません(笑)
 ユピテル様といえば、気に入った子の為には、牛になり、鳥になり、女装?し、液化・気化も厭わず、「恋と威厳は両立しない」(byオウィディウス)と呆れられたりしましたが、 有事の際には本当に頼りになる、やる時はやるお方です。
 フォルクレのジュピテルではギリシアの主神としての本領を発揮していて、きちんとヨーロッパ中から尊敬を集める真の姿?を見ることが出来ると思います。ユピテル様の株が上がりました。ユーノーに浮気を咎められても実力で捩伏せ、なおかつ信頼を失わないユピテル様です(?)


本気を出してるユピテル様
本気のユピテル
バルトロメオ・コリオラーノ<グイド・レーニ原画、ユピテルの勝利(部分)>

 で、ギリシア神話といえば、最近はウェルギリウスのアイネーイスを読んでいます。
 やっぱり、ウェルギリウス好き!(笑)ウェルギリウスの書く神様はみんないい性格しています。ユーノーがトロイア戦争の際ギリシアに味方したのは、美女コンテストでトロイアの王子パリスがユノを差し置いてウェヌスを選んだからだとか、さらにその前にトロイアの美少年ガニュメデスがユピテルの愛人だからだとか、やっぱりな理由を歌っていたり。
 で、アエネーアースが、主役になる為に生まれてきたようなお兄さんで、美と愛の女神ウェヌスの息子。パパはその美貌ゆえにウェヌスに愛された男。これで見た目からして美人でない訳がない。
 またトロイア王プリアモスの娘婿なんておいしいポジションで、さらにはトロイの木馬で焼け落ちたトロイアから新たな国を建てる為に漂泊している亡国の将。
 ユーノーの逆恨みで大変な目に会うけど、彼にはママとギリシア最強の(とまろりは思う)愛神クピードーがついています。ユピテルも味方だし。
 ユーノーがアエネーアースの船を焼いちゃったときに、ユピテルが豪雨を降らせて消し止めたんだけど、ウェルギリウスが書かなった裏で、ユピテル夫妻の天上での小競り合いが気になります。
 旅の途中で亡くなった父親に会いに冥界へ行ったり。そうこなくっちゃね!
 そこでかつてアイネーアースが新トロイア建国の使命の為に捨てた、そしてそのために自殺したカルタゴ女王ディードーに会うとか、つぼを押さえていると思います。ディードーはもともと誇り高く苛烈な上、例のウェヌス親子の陰謀でアイネーアースに激しく恋していたので、捨てられたとみるや、一途に焼身自殺してしまったのです。
 まあ、この辺り由来で後々ウェルギリウスがダンテを地獄巡りに連れまわすことになる訳で。
 やっぱりまろりーはギリシア神話は本場ギリシアより、ローマのフィルターがかかった方が好きかな。それこそロマンチックなので。ギリシア語よりラテン語が好きなのもそのせい。幕張の恐竜博に心惹かれるのも恐竜の名前が多くラテン語だから(笑)
 もっと前にこんな状態だったら、まろりー本当に西洋古典を目指したかも知れません。ウェルギリウス原文で読めたかった!まあ、絵で見るのと字で読むのとの違いですが。(でもプラトンやアリストテレスは辛いなぁ…)

 で、クラヴサンやヴァージナルの蓋には、よくラテン語の銘が入るのですが、自分だったらどんな銘を入れるかを空想してみたり。
 やっぱりヴァニタス系は避けたい。ヴァニタス画は大好きですが、楽器にメメント・モリな言葉を書くと、音ははかなく消え、音楽は仮初の快楽に過ぎない、なんて深刻に音楽を全否定する皮肉なことになります(笑)こんな楽器には枯れた茨を被った髑髏と蝋燭をかたわらに飾るしかない。
 しかし、まろりの好きなラテン語の格言なんかは余り音楽とは関係ないし。まあ、任意の言葉をラテン語に訳すだけでそれなりにそれっぽく聞こえるだろうけどね(笑)
 スタンダードにMUSICA(音楽は…)とかCANO(私は歌う!)とかあっても格好いいけど、まろりの場合、ムシカってば(だけでなくおよそ芸術は)今流行りの麻薬や覚醒剤のようなもので、そんなのラテン語で表明したくない(笑)
 まろりと音楽(その他芸術も含め)との関係は名言集に載っていた以下の文章が近い気がします。
NEC TECUM POSSUM VIVERE NEC SINE TE.
(君と共には生きられない、君がなくても生きられない)
 …やっぱり麻薬系か。もう響板に芥子の花描くよ!(笑)
 上だとちょっと軽いかな。じゃなかったら、やっぱりアルカディア。アルカディアは音楽や絵画の向こう側にあるから。
ET IN ARCADIA EGO(アルカディアにも我あり)か、ET EGO IN ARCADIA(アルカディアに我もあり)
3ded9021.jpegニコラ・プーサン<アルカディアの牧人>
 元ねたのプーサンの絵では、このエゴーって一人称は死を指すんだけど、捩れ曲がったまろりのハッピー解釈で、そのまま自分を指すことにして下さい。
 プーサンやクロード・ロランみたいな、喜劇的牧歌的神話的風景画もいいよね!(笑)人物は風景を見せる為に小さく、神話的な衣装で、あるいはサテュロスで、まあ、田園の奏楽かバッコスの祭をしているんだよ。
roran.jpgクロード・ロラン<踊る人のいる風景>



以上、妄想でしたっ。
気が付けば、随分長くなった。図版用意するの面倒だったんだからね!(無駄な努力・笑)
まさか、取り留めもない妄想をここまで全部読んだ人はいないと思うけど、もしも居たとしたらありがとうの言葉しかない。千のキッスをあなたに!(←いらん)

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