以下の3枚は、まったく脈絡はありませんが、純粋にギリシア文字が書きたかった、格好いいから。という英語習いたての中学生みたいな動機が主な成分です。ひょっとして時折転記ミスってるかも(笑)
○捕虜になったラッパ手。
古典ギリシャ語の教科書に載ってたイソップ寓話です。
敵を征服したある兵士たちが、一人のラッパ手を捕まえた。 まさに殺そうとしたとき、ラッパ手が言った。「ああ皆さん、どうか私を殺さないで下さい。私はあなた方の誰をも殺しませんでした。ご覧の通り、何も武器は持っていないのです、このラッパのほかは。」 兵士たちは彼に言った。「それゆえ、お前は死ぬのが相応しい。お前自身は戦わないのに、他人を殺し合いに駆り立てるのだから。」
残念ながら今夜はうさぎ鍋です。
自分は行動しないで煽るだけのやつも同罪、むしろそれ以上という話。意外と深い。
○スフィンクスとサルピンクス
~ンクス、という語感が好き。あとスフィンクスの字面が好き。
そんなスフィンクスさんは、猫パンチ強そうな感じにしたかった。
σαλπιγξ(サルピンクス)はラッパのこと、因みに、さきほど登場したラッパ吹きは、σαλπιγκτης(サルピンクテース)といいます。
ローマ字に直すとsphinx kai salpinx
ギリシア文字の“Γ”はローマ字のgのことなんですが、古典ギリシア語で“ΓΞ”(gx)と続くと鼻音化してnxになるんですね。
ほかに言うべきこともないので役にも立たない豆知識でした。
○ぶらんこに乗るプルチネッラ
世界は舞台、人生は花道
君は来て、見て、去る。
多く引用される一節ですが、やっぱり名句だなーと思います。意味としては、「男も女も人はみな役者、登場したり、退場したり」といった感じらしいです。
格言的にぎりぎりまで削がれた表現もいいし、少し哀調のある余韻もいいし、トリコロンで畳み掛ける語感もいい。
ほ こすもす すけーねー ほ びおす ぱろどす えーるてす えいです あぺーるてす
うん、語感がいいなぁ。
さて、ギリシャ文字ほぼ関係ない絵柄の方ですが、描かれたるものはプルチネッラという道化師の役柄の一つです。たしかナポリ出身設定。
原画はジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ、18世紀ヴェネツィアの画家。
ティエポロ<プルチネッラたち部分>
部分でごめんなさい!フルサイズ(円形の絵)は拾えなかったのです;;
わらわらしてる道化師たちの滑稽味と軽やかさと、それとほんのちょっぴりの気味悪さがいい味出してる。そんな道化師と、ぶらぶらしてるぶらんこが、よく合っていると思います。
いつも思うのですが、この縄だけぶらんこって結構おしり痛そう…だし、バランス崩して後ろに落っこちちゃいそう…。そこで落ちないのが道化師のアクロバットパワーなんでしょうか。
ぶらんこも18世紀になかなか流行ったモチーフでして、有名どころはフラゴのあれです。
ジャン・オノレ・フラゴナール<ぶらんこ>
雨が降ったら激しくしみこみそうだけど、安定感と座り心地は抜群。
アントワーヌ・ヴァトーの素描
ヴァトーの背中はひたすら格好いい。何でしょうね、この背中で語るヴァトー。誰か背中で語る美術史―ヴァトーを中心に―みたいな本下さいお願いします。
ユベール・ロベール<戸口の下のぶらんこ遊び>
フラゴやヴァトーと比べて、鄙びた風情。廃墟にロープ吊るして板を揺らすタイプ。危ない。現代人やったら怒られる。面白そう。
ユベール・ロベール<ぶらんこ>
でも、これはいじめだと思う。