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○なんせんす・さむしんぐ○

美術や音楽の感想とか、動物中心のイラストのブログ。

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黄金伝説展とシスレー展 感想

●西洋美術館の黄金伝説展

 古代西洋世界の金製品を堪能出来る展示でした。
 個々の展示品はどれも素敵で、純金や宝石、貴石の輝きも純粋に贅沢で、またデザインを楽しみ、繊細で高い技術力とに驚嘆し、面白かったです。

 展示されているのは、金の宝飾品や工芸品だけはありませんでした。

 ギリシャの風俗を窺い知れる絵付けのされた壺とか、黄金にまつわるギリシア神話と、ギリシア神話主題のモローやルノワールやクリムトなどの絵画が差し挟まれたりとか、大量の金の副葬品とともに埋葬された発掘現場の再現とか。

 正直にいえば、ギリシャもローマもエトルリア(ローマの先住民)もトラキア(現在のブルガリアの辺り)も、たぶん何世紀もの隔たりがあるのだけれど、どれも全部「ざっくり古代」という時間間隔から抜け出せず・・・、なんかこう、時代によるデザインの遷移とか、場所による様式の違いとか、そういうことは、はっきりとは判りませんでした。もっと注意深く分析していけば、分かるのだろうけど。…たぶん、そういう趣旨の展示ではなかった。 

 本当に「古代遺跡から発掘されたモノ」に焦点を絞った展示で、当初、少し期待していたような「金と人の文化史」みたいな壮大なテーマではなかった。

●練馬区立美術館のシスレー展
シスレー≪陽光のあたるモレの橋≫
これは展覧会とは関係ないけど。シスレーいいよねぇ(*´`*)

 冒頭思ったのは、学芸員さんアツい。

 例に漏れず、最初にシスレーとはどんな画家か、今展示の意義とかが書いてあるのだけれど、それが、長い。
 目の高さから足元まで書いてある(笑)最後はしゃがんで読む勢い。

 シスレーは無条件に大好きな画家です。シスレーのこと詳しく知らなくても、これといった素敵エピソード知らなくても、絵で好き。
 もっとも印象派らしいと言われたのだっけ。
 絵らしい絵というか、普通の風景の前にイーゼル立てて普通にそのまま描いただけっぽくみえて、一部の隙もない絵になってるのが好き。それもわざとらしさの欠片もなく。


シスレー≪ルーヴシエンヌの風景≫


 面白かったのは、ときおりシスレーの絵の横に参考資料として、当時の風景写真や写真の印刷された絵葉書が掲げられていたこと。

 本当に写真の構図や雰囲気、細かいモチーフがどれもシスレーそっくり!

 誰か知らないけど、それっぽい写真よく探したよね。
 なんの説明もなかったけど、お互い影響関係があるのでしょうか。
 私にとっては、どれも「異国の美しい風景」だけれど、当時のフランス人にとっては、もっとリアルに「あーあそこねーこんな感じだよね!」みたいな絵だったりするのかな。

 そして、一番アツい感じだったのが、「河川工学」から考えるシスレー。
 初めて聞いた日本語だ。
 ちょうどシスレーの時代少し前から、セーヌ川の治水技術が上がり、安定した穏やかな流れになった。これにより、セーヌ河畔の風景が変わったのだそう。
 それまでは、いわゆる気まぐれな暴れ川で、親しみのわくような川ではなかったらしい。
 シスレーが沢山描いたセーヌ河畔が、穏やかで美しい風景として描かれるようになったのも、こうしたテクノロジーの賜物なのですって。

 こういう絵の見方もあるのだなぁ。
 こんな風に考えられるなんて、思いもよらなかった。

 シスレーの時代の(多分)スクウェアピアノが置かれていました。
 一応、鍵盤楽器ということで、写真には撮ってみたけど。

 けど。この展示の仕方……大人の事情なんだろうけど……うーん。人に見せる気ないな。

 鍵盤楽器のアイデンティティの殆どを蓋で覆い隠すことによって、大きくて高すぎる机みたいにして、鍵盤楽器としての意味を揺らがせる現代アートみたいなことになってる……。
 鑑賞者は、隠された鍵盤楽器の鍵盤と内部の機構を想起することによってのみ、この鍵盤楽器を観念の上で視ることが出来る。
 あるいは、鍵盤楽器の鍵盤と内部の機構を隠すことによって、普段は足元で目立たないペダルの存在を強調しているのかも。

 嘘です。   

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