久々の日記!さて、約一月分、一体なんの話題から始めましょうか?
とりあえず、色々書くのが面倒なルーヴル展の感想はうっちゃっておこう。
最近読んだ本について。
ええ、そういう訳で、誘惑に耐え切れずして、久々にハードカバーの本なんてものを買ってしまった訳です。…図書館にはあんまり入りそうになくてねぇ。しかもすぐ絶版するタイプとみた(笑)
その名も「サイのクララの大旅行」。
内容;18世紀に何百年ぶりかにやってきた当時の幻の動物、サイ(クララという名前)をオランダ人がヨーロッパ中に見せて回る!
っていうノンフィクションです。まろりが読む本にしてはノンフィクションは珍しいでしょ(笑)
原題がなかなか素敵です。「クララのグランドツアー」・・・まったく18世紀好きの心をくすぐるタイトルです。
グランドツアーというのは、18世紀のイギリス上流階級の間で流行ったヨーロッパ一周旅行。
そんな感じで、そのサイのクララが、何処にいって、誰に見られて、どんな影響を与えたか、っていうお話。
大雑把な感想は、小ねたが面白い。です。
まさか、サイの話を読んでいて、ヴェサリウスの解剖学書やテュルプ博士が出てくるとは…。なるほど、ヴェサリウスの解剖書の挿絵の懲りっぷり(骨格標本が別の頭蓋骨片手に頬杖付いて死について(ラテン語で)考えていたり、筋肉を見せた人が田園風景の前でポーズを取っていたり)は、想定した読者が、学者先生だけでなく一般の好奇心旺盛な人間も対象だったからなのね…。というか、ヴェサリウスに日本語訳が出ているんだって!読みたい・・・というより、挿絵だけ見たい。
この間あった、ルーヴル美術館展(18世紀工芸の)で見た、サイ時計。これもクララの像なんだって。あの時は、時計にサイなんて、まったく関係ないのに、ただ異国情緒を狙ってお馬鹿なんだから(←褒め言葉)とか思ったものの…まさかその時計を支えるサイに固有名詞があって、一大センセーションを巻き起こしていようとは、思っていなかった訳で。。。もうちょっと良く見とけば良かった(笑)
とか、脱線(というか寄り道)気味な内容につられて、自分の思考も結構脱線しますが、一番ショックだったのは、デューラーのサイが実はデューラーの妄想だったってことでしょうか・・・。結構写実的だと思っていたんだけど・・・!
いわれてみれば、まろり自身、サイなんて見た記憶が無い。テレビでも写真でも動物園でもサファリパークでも、絶対見ているはず。でも覚えていない。
そもそも、まろりは馬やサイとかの奇蹄目より、鹿や山羊といった偶蹄目を好むもので。。。かなりポピュラーなサイより、アビシニアコロブス(猿の仲間)やドール(犬の仲間)の方を覚えているとか。
…動物園にサイを見に行きたくなりました。サイって一体どんな動物なんだっけ…。
ためしにポケット動物図鑑を見てみたり。アフリカのサイは二本角で、インドサイが一本角。そんな訳で、アフリカのクロサイの学名が「ディケロス・ビコルニス」って言うんだって。それぞれギリシャ語とラテン語で「二本角・二本角」って意味だけど、誰が名前付けたのかなぁ…湯桶読みみたいで、気持ち悪い(笑)いいじゃん、「ゴリラゴリラゴリラ(ゴリラの学名)」がいるんだから、繰り返せば…とか思うのはまろりーだけでしょうか。
という訳で、この本のおかげでサイという生き物に興味津々です。というか、思考の網が四方八方に広がって楽しい。
ただ、肝心の図版が少なめなんだよねぇ。ウードリーのクララの絵は載せてくれないと!あと、面白いんだけど、ぺらぺら読めちゃうので、読み足りない(笑)
で、読み足りないので、図書館に行った折、ふと目についた本を、これまた誘惑に勝てずに、借りてみる。
「シラノ・ド・ベルジュラック」新訳古典文庫のね(笑)
鼻繋がり。散々、ライノーだのライノセラス(鼻・角の意味)だのそんな単語を読まされるうちに、おそらく潜在意識に働きかけたのでしょう。音もちょっと似ているし。
読み慣れた岩波より、分かり易いです。平明、というのがしっくり来るかな。上演する目的で訳したものらしく、耳で聞いてすぐ分かる感じ。岩波の訳での上演なら、一度連れて行ってもらったのだけど、あれは、事前に読んでおかないと、脳内で漢字変換できないぞ、って思ったものです。難しい日本語とか、候文なんか出てくるから。読み物としてなら断然岩波の訳のが雰囲気あって素敵だけどね!
でも相手がシラノなので、やっぱり良い話には変わりなく。注が充実しているので、そこはおすすめ。