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○なんせんす・さむしんぐ○

美術や音楽の感想とか、動物中心のイラストのブログ。

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デルフト&フェルメール展

フェルメール展行って来ました~。正式名称フェルメールとデルフトの巨匠展だったかな?

 フェルメール展の名の通り、お目玉はフェルメールの絵7点(確か)なんだけど、フェルメールって現存作品が35点くらい(確か)しかないから、かなりの多さです。それだけでもお得感たっぷりですが、まろりが期待するのは、付け合せでやってくる面々。生粋の(笑)同時代のオランダ絵画がやって来る訳です。
で、付け合せはホーホとかデ・ウィッテ、ファブリツィウスなど。

 展示の最初の方は、建築画。
 教会内部の臨場感たっぷりの、しかし歪められた遠近法。
 縦の空間の広がりの開放感もさることながら、光の効果の綺麗さ。側廊の円柱に当たる、透明の硝子を通した日光と窓枠の、半円に伸びた影といったら。

 デルフトでは、大規模な火薬庫の爆発があって、それで、若きファブリツィウスとその作品は巻き込まれて亡くなってしまったそうですが、その爆発を伝える絵が、急遽日本に来れないことになって、ちっちゃなパネルになってしまっていました。
 うーん、細かい絵だからもうちょっと大きく見たかったな。どうせパネルなんだし。

 で、ファブリツィウスの絵で自画像があったけど、ヨーロッパ人らしく胸毛がもっさりしていました(笑)が、過去にはレンブラント作品とも思われていたそうで、言われればちょっとレンブラント風な感じ。なんだっけ、レンブラント工房で修行したんだっけ? で、レンブラント技法をデルフトに持ち込んだとか、そんな感じだったと思います。

 ロンドン・ナショナルギャラリーの、楽器商のいる教会の角の坂道の絵が来ていました。お、どこかで見たことあると思ったら。(ロンドン同館のカタログを何度も見たもので)
 で、それは、不思議なやっぱり歪んだような遠近法を用いてあって、覗き箱的なものに描かれた絵ではないかということで。
 覗き箱というのは、その名の通り、へんてこな絵の描かれた箱に開けられた穴を覗いて楽しむ道具で、片目で覗くと、どういう訳か、へんてこだった絵が本当に奥行きをもって浮き上がって立ち上がって見える不思議な箱。
 それが、本展示で再現されていたけど、・・・・・・そんなに浮き上がっては見えなかった・・・かな? 坂道ーって感じはしたけど、本物の覗き箱を見たときのような、魔法のような立体感は無かった。

 で、オランダ絵画に関わらず、絵って片目で見ていると、浮き上がって見えることがあるとまろりは思うのです。その見方を推奨してみたところ、一緒に行った友人は「別に。」と立体的には見えないようす。
 まろりの妄想幻覚なのでしょうか。今度だれか試してみて下さい・・・。

 で、次はホーホ。ホーホは家庭の、母子のテーマをよく主題にした、という訳で、母子像。
 その中の一枚で、母親と一緒にいる小さな子供が、銀色に輝く丸いものを持っている絵があったのですが、あれって兜に見えたのですが、兜なのでしょうか。それともただの食器?
 よく分からないけど、兜を持っているとしたら、ちょっとシリアスな絵だなぁ・・・などとすっと思ったり。

 2階からはフェルメール祭り。
 へえ、これがフェルメールなんだって感じ。フェルメールは有名だけど、固まってみたことなんかなかったから。
 大体、いつも来るにしても、一枚だけ大事に大事に持ってこられて、「これが名画ですよ! 他の人も見れるように立ち止まらずゆっくり見てね☆」みたいなVIP待遇で展示されているもので、普通に並べられているのが新鮮。いや、とっても一枚の絵に対して広いスペースの割り当てられた、贅沢な配分はやっぱりVIP待遇。
 ・・・余談だけど、友人によれば、ロンドン・ナショナルギャラリーは、フェルメール全作品を集めた展示をやってのけたとかそうでないとか。すげぇなイギリス。さすが文化政策に厚い国。

 最初はキリストとマリアとマルタ姉妹の絵。・・・宗教画として読んだけど、絵も覚えているけど、あんま感想ない(愚)

 次は、水浴のディアナ。
 いや、水浴だと間違ってる。ニンフに足を拭いてもらうディアナ。多分、こういうときってディアナさんは狩りのあとで休憩して体を洗っているのだと思うけど。
 こういう、水と女性の絵ってエロス狙いのものだって発想が頭にあるんだけど、あまりエロティックな感じはしなかった。エロ以外の何かの意図、何かの寓話が込められているのかしら。じゃなかったら、控えめな足首萌え(何それ)
 洗浄前は、抜けるような青空が背景に描かれていたのだけど、それを落とすと茶色いぼやぼやした具象的でない背景。だから森の中っぽくはないのよね。青空はあった方が絵としては綺麗だと思ったけど、確かにフェルメールっぽくは無いのかも。イメージ的に。青空の巨匠とかが描いてたら、落とされずにもっと綺麗だったのかもね。青空を加えたのは、後の時代の人かな。後の時代の人は明るい色を好んだから。でも青空有った方が絶対いいって!
 というか、フェルメールって神話画も描いたのねー。

 次は、お家の絵。タイトルは小道とかそんな感じ。うーん、文字だと説明しづらいなぁ。
 茶色いレンガのお家とその脇の奥に伸びる小道。そこはアーチの入り口で、女の人が奥でなんかしている。 

 さて、次は、室内でテーブルを囲んでお酒を飲む人たちの絵。赤い服の女性が完全にこっちを見て、にっと笑っていてどきりとする。
 彼女は、となりの酔っ払いに手とか触られて、顔も寄せられていて、顔を背けたところ。それで多分、観者たる我々の視線に気付いて笑ったんだ、きっと。なーんか皮肉っぽい笑顔。満面の笑みじゃない、お上品でないない笑み。お酒の野卑さを言いたいのか、どうか。
 それよりも、その傍らにいて、影の中で頬杖を付いて顔を見せないおっさん(お兄さん)が存在感地味にあって気になる。「あいつらまたやってるよ、馬鹿め」とか思っているのか、もっと関係ないメランコリーなことを考えて一人の世界に浸っているのかしら。というか、彼らのことを見てない気がした。一緒のテーブルについているのに、なんか、違う雰囲気があるお兄さん。謎の存在です。構図上の問題以外に、なんであそこで座っているんだろう。
 ちょっと青みがかった絵。

 次は・・・リュートを調弦する人だったかな。
 ちょっと気の強そうな顔をした中産階級ぽい毛皮の服を着た女性。糸巻きを回して、音に耳を傾けながら、窓の外を向いている。男の人を待っているのでは、なんて解説があったけど、私もそう思う?
 手前が逆光で暗くって女の人は窓からの光で明るい。あー、もっと手前の暗め部分、よく見とくんだった。お姉さんとリュートの形に気をとられすぎた。

 一番好きだったのは。ヴァージナルの前に座る年齢不詳の女性。黄色い服におだんごツイン。お団子ツインって幼い感じがするけど、顔は老けてるっていうか、大人。超小さい絵で、縦横30センチくらい。個人蔵。
 体は横を向いているけど、顔はこっちを向いて笑う。うーん、ちょっと空想的な顔をしているような気がする。神話画顔っていうか。楽器を弾く親密さは肖像画っぽいけど、肖像画の顔って感じがしないのよね。いや、こういう顔の人もいるだろうけど、ギリシャ彫刻っぽい雰囲気があるように思った。笑顔がちょっとモナリザ風で、ようするに絵に描いた笑顔って感じ。
 でも、フェルメールの持ち味たる光の素敵さってのが、凝縮された感じ。余計なストーリの無いぶん、それが堪能できた気がする。
 ヴァージナルの箱に写ったドレスに反射した光とか、大好き。二重に反射してる・・・。

 さて、3階に上がりまして、フェルメールの全作品の実寸代パネルも面白かった。フェルメールより後の世代の絵。メインが終わっちゃって、ちょっと空いてた(笑)皆、お腹一杯になり始めたようです。

 お兄さんが女性の胸元を見ている絵とか、酔っ払ってお姉さんに絡んでいる絵とか。そのお姉さんはあからさまに嫌ーな顔していて、友人が男のセリフを想像して「俺さー、東大ストレートで合格してさー」みたいないやらしい会話に仕立て上げた(笑)ここにいる犬は、きっと多情を暗示するわんこなのかな。

 美しい白いシルク?のドレスを着たお姉さんと軍人が、バックギャモン(多分)に興じているところに、喇叭を担いだ伝令の少年がやってきて、召集を告げる、なんて不穏な絵もありました。描かれた風俗も面白ければ(結構派手なので)話も面白いな。その頃は、イギリスに続いてフランスとも会戦してたとか、そうでないとか。イギリスには既にぼこぼこにされていたから、フランスは弱ったところを狙ってきた卑怯な作戦(笑)

 そうそう、最後に、デ・ウィッテの赤いカーテンの部屋で、後ろを向いてヴァージナルを弾いているお姉さんと、天蓋のあるベッドの中の暗がりから顔を薄く見せているおっちゃんの絵がありました。おっちゃん「見られた!」って顔でこっち向いているけど、俺らだって見ようとして見た訳じゃないのに(笑)みたいな、画中のおっちゃんとのやりとりが面白くて、室内の光と奥行きとも好きで、この絵、けっこう好き。カーテンを透ける光って素敵。

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