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○なんせんす・さむしんぐ○

美術や音楽の感想とか、動物中心のイラストのブログ。

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おたくの皆様への自己主張。

三郎丸氏より回ってきましたー(というか、もぎ取ってきた)オタクバトーン!
おたくを愛し、そして憎んでやまないまろりーは興味津々、やる気満々で貰ってきたのでありました。
よし、このテンションでいくぞー。

【オタクバトン】

▼好きな女キャラを5人
女キャラって・・・そんなにぱっと思いつかないなぁ。ええとええと・・・

・やっぱりメルトゥイユ夫人かな?危険な関係の。頭が良くて、策略家。人を陥れるのが大好きな、美貌の悪女。すんごく華やかな悪役。最後に悪役として身に降りかかる悲劇も素敵!
・小学生のときはデメテルが好きでした。ギリシャ神話のね。娘を冥界の王様ハデスにかどかわされたデメテルは、娘の行方が心配で、饗された人間(ペロプス君)の肉をうっかり食べてしまう、っていう一連の話がドラマチックで好きだった。あのときから、若干危険な嗜好。
・そういえば、大神(アクションゲームの)のアマテラスさんも良いキャラしてるよね。なかなかおちゃめだけど、神様としてやるときはばっしりやる。何処までがとぼけた策略か分からない策士っぷりとか。
・失墜の天使ラシェル。(って名前だったはず)キネの「さまよえるユダヤ人」に出てくる天使。死すら許されずに彷徨い続けることをキリストから宿命付けられた男を哀れんで涙したために、神の意に反するとして天界を追われてしまった。単純に設定萌えです。
・・・・サモトラケのニケ。。。ってだめ?(ネタ切れ)f、フラゴナールのとかティツィアーノのとか、ブーシェのとか・・・(完全に体目当て(ひどい言い回し))


ドラマチックな人が好きなのかな。分かり易く。じゃなかったら華やかなひと?個性的なひと?見た目かわいい人?

▼その中で一番好きなのは?
一番先に思いついたメルトゥイユ夫人で。

▼どんなところが好き?
頭がよくて、物語の全てを牛耳って、黒幕で、極悪なところかなぁ。色男を手先のように使うところとか。でも懲悪されっぷりが古風だけど、格好良い。

▼好きな男キャラを5人
・直近では、ヴィルジリオ! 細やかな気遣いと自己犠牲的なまでの擁護っぷりに惚れる。ダンテじゃなくて俺もあんなふうに守って欲しい(笑)
・主人公といえば、エルキュール・サヴィニャン・シラノ・ド・ベルジュラック氏。快刀乱麻の言葉の綾が。そのくせ、コンプレックスの塊。コンプレックスを言葉という言葉で飾り立てられて、剣の腕も立つ。シリアスも道化もばっちり演じられる、偉大な三枚目。ハムレットも結構気障で好きですが(2ページに及ぶ独り言とか、墓場でしゃれこうべもって語っちゃうところとか)
・怖い冥界の偉い王様なのに、みんなからボコボコにされて、貧乏くじ引いてばっかで、番犬持ってかれるし、浮気されるし、ヘタレすぎなハデス。でもお金持ちで、実はギリシア神話中かなりの良識派。多分、ギリシアの神々のなかで、一番世界の平和と調和と秩序のことを考えてる。爽やかでかつ残虐なアポロンも気になるけどね・・・。
・実は、福音書記者のヨハネさん。。。自他共に認める美少年で小悪魔系。アグレッシヴないや死刑(癒し系って打とうとしたのに・・・(笑))。優しくしたのに受け入れられないと、全員死ね!とまで言ってくる。本当にこの人、使徒でいいの・・・? まろりの妄想では、キリスト大好きなふりして、母親のマリアさん(人妻)狙いだと思う。
・じつは、アントワーヌ・フォルクレが・・・。映画化したら絶対面白いとおもうよ、この人。小悪魔どころか、悪魔。人として最低。というか、感性が人間じゃない(笑)デモニッシュって言葉はこの人のためにあると思う。しかも誇り高くて=傲慢。が、実力は最高なので文句言えない。真面目に腐ってて格好いい。バロック時代中、屈指の濃い人。
あ、待った、追加で、一人、初恋の人もお願いします。虫けらのように意味も無く鼠を虐殺しまくる、真っ白でカリスマティックなイタチのノロイさんです。残虐非道な最高に格好良い悪役。


▼その中で一番好きなのは?
ハデス・・・が一番年季はいっています。

▼どんな所が好き?
せっかく長男に生まれたのに(ギリシャでは長男の力は絶大)、生まれた瞬間パパに殺されかけて、助けられたと思ったら、かなり無茶な理由で末っ子にされ、兄弟が雷とか三叉の槍とか格好良いアイテムを貰ったのに、自分だけ「隠れ帽子」って地味すぎで、くじ引きで一番暗くてじめじめして陰気な土地を治める破目になるという可哀想すぎる生い立ち。
普段は引っ込み思案であまり表に出てこないハデスだけど、一目ぼれしたペルセフォネちゃん(デメテルの娘)を思い切って誘拐っていう極端すぎる行動。で、その恋心は実はクピードーの矢に射られたからっていうやっぱりヘタレなオチが・・・。
まあ、諸説ありますけど。
でもとっても偉い王様。たぶん、神様だから本当は美形に違いない。

▼好きな声優を3人
んん・・・声には鈍感な私。聞き分けられません。
ポロリとバイキンマンの声の人、ルフィの声の人、ドラえもんの声の人くらいなら多分聞き分けられる!
ミス・マープルやポワロの吹き替えの人好きかも(笑)
というか、アニメとかって、絵を動かしたら同時に声も出ると思うよ。

▼コスプレはする?又はどんなコスプレをしてみたい?
コスプレはしませんが、コスプレものは映画でも芝居でもドラマでも大好きです。むしろ、ご衣裳ものばっかり見てる。
いつもいっているけど、アビ・ア・ラ・フランセーズならしてもいいかな。もっさりスーツ。ローブ・ヴォラントとかは、多分体型的に厳しい。

▼アニメ、漫画、ゲームの中で憧れるもの
心躍る冒険。驚異的な世界観。仲間との絆。非現実。空想的な人種・動物。跳梁跋扈。

▼一番萌えを感じるのは?
一言でいえば、貴人萌えでしょう(笑)じゃなかったら誇り高き奇人。ギリシャの神様とか、みんな貴人で奇人だから、好きなのかも。
王道は、流離している貴種。亡国の王子様とか。こう・・・知識階級にあって洒落た会話とか、言い回しとか・・・の出来る人。
で、ギャップがあるとポイントアップ。哲学書を読むチャラ男とか(実話・・・チャラ男も哲学書も好きじゃないけど、組み合わさると素敵だ。コーヒー牛乳みたく。)偉いけど可哀そう、立派なダメ人間など。
あとは、カリスマ性?宗教がかっていたり。陛下とか猊下とか出てくると嬉しくなります。猊下っていつでも最強だと思います。
で、やっぱり影のある三枚目かな。二枚目半か。
いろいろな意味で死っていう概念と仲良しな人は、わかりやすく好きです。生き返ったとか、なんか冥界冒険しちゃったりとか、とりあえず死んでるとか。
設定的においしい(そしてそれ故に)お馬鹿キャラってところでしょうか。たぶん、ストレートに「狙った」キャラクターがいいんだと思うよ。

が、それ以上に単純に、鳥とか偶蹄目が萌え萌え。
鳥の生態と翼の構造との関係性とか、(天敵から素早く逃げる必要のある山の小鳥の翼は抵抗力が高いので、スタートダッシュに優れる、とか、そいういう感じ。こんなのをまとめた書籍でもないかしら!)角とか(クーズーの角は螺旋状に捻じれているけど、それは格闘のとき、角を絡ませて傷つけないようにするため(らしい))。ちなみに、このクーズーという異境の生き物が最近のまろりの脳内アイドルでして・・・。
猛獣系統も好きだな。たとえ二足歩行しようが、人間っぽく変身しようが格好良い(余計な一言)
・・・結局は、動物は好き。造形美。

▼このバトンを回す人5人
一応、いつもの通り、里見氏。
織人ちゃん、是非やってみない?(笑)
秋生氏、なんでもどんと来い。変とか地味とか言わないから(笑)
ユウマ君、なんとなく好みは知っているけど!(笑)
響嬢、リボーンでもとうとうと語るが良い。
ハト氏、腸萌えでも火葬場でも何でも炸裂すればいいじゃない。
スルー可!

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デルフト&フェルメール展

フェルメール展行って来ました~。正式名称フェルメールとデルフトの巨匠展だったかな?

 フェルメール展の名の通り、お目玉はフェルメールの絵7点(確か)なんだけど、フェルメールって現存作品が35点くらい(確か)しかないから、かなりの多さです。それだけでもお得感たっぷりですが、まろりが期待するのは、付け合せでやってくる面々。生粋の(笑)同時代のオランダ絵画がやって来る訳です。
で、付け合せはホーホとかデ・ウィッテ、ファブリツィウスなど。

 展示の最初の方は、建築画。
 教会内部の臨場感たっぷりの、しかし歪められた遠近法。
 縦の空間の広がりの開放感もさることながら、光の効果の綺麗さ。側廊の円柱に当たる、透明の硝子を通した日光と窓枠の、半円に伸びた影といったら。

 デルフトでは、大規模な火薬庫の爆発があって、それで、若きファブリツィウスとその作品は巻き込まれて亡くなってしまったそうですが、その爆発を伝える絵が、急遽日本に来れないことになって、ちっちゃなパネルになってしまっていました。
 うーん、細かい絵だからもうちょっと大きく見たかったな。どうせパネルなんだし。

 で、ファブリツィウスの絵で自画像があったけど、ヨーロッパ人らしく胸毛がもっさりしていました(笑)が、過去にはレンブラント作品とも思われていたそうで、言われればちょっとレンブラント風な感じ。なんだっけ、レンブラント工房で修行したんだっけ? で、レンブラント技法をデルフトに持ち込んだとか、そんな感じだったと思います。

 ロンドン・ナショナルギャラリーの、楽器商のいる教会の角の坂道の絵が来ていました。お、どこかで見たことあると思ったら。(ロンドン同館のカタログを何度も見たもので)
 で、それは、不思議なやっぱり歪んだような遠近法を用いてあって、覗き箱的なものに描かれた絵ではないかということで。
 覗き箱というのは、その名の通り、へんてこな絵の描かれた箱に開けられた穴を覗いて楽しむ道具で、片目で覗くと、どういう訳か、へんてこだった絵が本当に奥行きをもって浮き上がって立ち上がって見える不思議な箱。
 それが、本展示で再現されていたけど、・・・・・・そんなに浮き上がっては見えなかった・・・かな? 坂道ーって感じはしたけど、本物の覗き箱を見たときのような、魔法のような立体感は無かった。

 で、オランダ絵画に関わらず、絵って片目で見ていると、浮き上がって見えることがあるとまろりは思うのです。その見方を推奨してみたところ、一緒に行った友人は「別に。」と立体的には見えないようす。
 まろりの妄想幻覚なのでしょうか。今度だれか試してみて下さい・・・。

 で、次はホーホ。ホーホは家庭の、母子のテーマをよく主題にした、という訳で、母子像。
 その中の一枚で、母親と一緒にいる小さな子供が、銀色に輝く丸いものを持っている絵があったのですが、あれって兜に見えたのですが、兜なのでしょうか。それともただの食器?
 よく分からないけど、兜を持っているとしたら、ちょっとシリアスな絵だなぁ・・・などとすっと思ったり。

 2階からはフェルメール祭り。
 へえ、これがフェルメールなんだって感じ。フェルメールは有名だけど、固まってみたことなんかなかったから。
 大体、いつも来るにしても、一枚だけ大事に大事に持ってこられて、「これが名画ですよ! 他の人も見れるように立ち止まらずゆっくり見てね☆」みたいなVIP待遇で展示されているもので、普通に並べられているのが新鮮。いや、とっても一枚の絵に対して広いスペースの割り当てられた、贅沢な配分はやっぱりVIP待遇。
 ・・・余談だけど、友人によれば、ロンドン・ナショナルギャラリーは、フェルメール全作品を集めた展示をやってのけたとかそうでないとか。すげぇなイギリス。さすが文化政策に厚い国。

 最初はキリストとマリアとマルタ姉妹の絵。・・・宗教画として読んだけど、絵も覚えているけど、あんま感想ない(愚)

 次は、水浴のディアナ。
 いや、水浴だと間違ってる。ニンフに足を拭いてもらうディアナ。多分、こういうときってディアナさんは狩りのあとで休憩して体を洗っているのだと思うけど。
 こういう、水と女性の絵ってエロス狙いのものだって発想が頭にあるんだけど、あまりエロティックな感じはしなかった。エロ以外の何かの意図、何かの寓話が込められているのかしら。じゃなかったら、控えめな足首萌え(何それ)
 洗浄前は、抜けるような青空が背景に描かれていたのだけど、それを落とすと茶色いぼやぼやした具象的でない背景。だから森の中っぽくはないのよね。青空はあった方が絵としては綺麗だと思ったけど、確かにフェルメールっぽくは無いのかも。イメージ的に。青空の巨匠とかが描いてたら、落とされずにもっと綺麗だったのかもね。青空を加えたのは、後の時代の人かな。後の時代の人は明るい色を好んだから。でも青空有った方が絶対いいって!
 というか、フェルメールって神話画も描いたのねー。

 次は、お家の絵。タイトルは小道とかそんな感じ。うーん、文字だと説明しづらいなぁ。
 茶色いレンガのお家とその脇の奥に伸びる小道。そこはアーチの入り口で、女の人が奥でなんかしている。 

 さて、次は、室内でテーブルを囲んでお酒を飲む人たちの絵。赤い服の女性が完全にこっちを見て、にっと笑っていてどきりとする。
 彼女は、となりの酔っ払いに手とか触られて、顔も寄せられていて、顔を背けたところ。それで多分、観者たる我々の視線に気付いて笑ったんだ、きっと。なーんか皮肉っぽい笑顔。満面の笑みじゃない、お上品でないない笑み。お酒の野卑さを言いたいのか、どうか。
 それよりも、その傍らにいて、影の中で頬杖を付いて顔を見せないおっさん(お兄さん)が存在感地味にあって気になる。「あいつらまたやってるよ、馬鹿め」とか思っているのか、もっと関係ないメランコリーなことを考えて一人の世界に浸っているのかしら。というか、彼らのことを見てない気がした。一緒のテーブルについているのに、なんか、違う雰囲気があるお兄さん。謎の存在です。構図上の問題以外に、なんであそこで座っているんだろう。
 ちょっと青みがかった絵。

 次は・・・リュートを調弦する人だったかな。
 ちょっと気の強そうな顔をした中産階級ぽい毛皮の服を着た女性。糸巻きを回して、音に耳を傾けながら、窓の外を向いている。男の人を待っているのでは、なんて解説があったけど、私もそう思う?
 手前が逆光で暗くって女の人は窓からの光で明るい。あー、もっと手前の暗め部分、よく見とくんだった。お姉さんとリュートの形に気をとられすぎた。

 一番好きだったのは。ヴァージナルの前に座る年齢不詳の女性。黄色い服におだんごツイン。お団子ツインって幼い感じがするけど、顔は老けてるっていうか、大人。超小さい絵で、縦横30センチくらい。個人蔵。
 体は横を向いているけど、顔はこっちを向いて笑う。うーん、ちょっと空想的な顔をしているような気がする。神話画顔っていうか。楽器を弾く親密さは肖像画っぽいけど、肖像画の顔って感じがしないのよね。いや、こういう顔の人もいるだろうけど、ギリシャ彫刻っぽい雰囲気があるように思った。笑顔がちょっとモナリザ風で、ようするに絵に描いた笑顔って感じ。
 でも、フェルメールの持ち味たる光の素敵さってのが、凝縮された感じ。余計なストーリの無いぶん、それが堪能できた気がする。
 ヴァージナルの箱に写ったドレスに反射した光とか、大好き。二重に反射してる・・・。

 さて、3階に上がりまして、フェルメールの全作品の実寸代パネルも面白かった。フェルメールより後の世代の絵。メインが終わっちゃって、ちょっと空いてた(笑)皆、お腹一杯になり始めたようです。

 お兄さんが女性の胸元を見ている絵とか、酔っ払ってお姉さんに絡んでいる絵とか。そのお姉さんはあからさまに嫌ーな顔していて、友人が男のセリフを想像して「俺さー、東大ストレートで合格してさー」みたいないやらしい会話に仕立て上げた(笑)ここにいる犬は、きっと多情を暗示するわんこなのかな。

 美しい白いシルク?のドレスを着たお姉さんと軍人が、バックギャモン(多分)に興じているところに、喇叭を担いだ伝令の少年がやってきて、召集を告げる、なんて不穏な絵もありました。描かれた風俗も面白ければ(結構派手なので)話も面白いな。その頃は、イギリスに続いてフランスとも会戦してたとか、そうでないとか。イギリスには既にぼこぼこにされていたから、フランスは弱ったところを狙ってきた卑怯な作戦(笑)

 そうそう、最後に、デ・ウィッテの赤いカーテンの部屋で、後ろを向いてヴァージナルを弾いているお姉さんと、天蓋のあるベッドの中の暗がりから顔を薄く見せているおっちゃんの絵がありました。おっちゃん「見られた!」って顔でこっち向いているけど、俺らだって見ようとして見た訳じゃないのに(笑)みたいな、画中のおっちゃんとのやりとりが面白くて、室内の光と奥行きとも好きで、この絵、けっこう好き。カーテンを透ける光って素敵。

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続・神曲

 ちょっと、ドラゴンの背に乗って断崖絶壁を下るって、そんなファンシーな・・・!

 神曲って一応コメディ(喜劇)ってことになっているけど、相変わらずのダンテのヘタレっぷりがコメディなのかも(曲解)

 第17歌にて、なんか、ヴィルジリオパパがダンテの持ってた紐でドラゴンを釣って、それでヴィルジリオさんは「私が背中に乗せてくれるよう話をつけたげるから、あの辺で死人と話して暇つぶしてて」とか言っちゃって。
 で、あとでダンテがヴィルジリオのところへ戻ってくると、彼はすでにちゃっかり背中に乗ってて、案の定ダンテは「乗るのまじ怖い!」って爪の先まで真っ青になって震えちゃうし。
 ウェルギリウスさんは「このドラゴンはしっぽに毒があって危ないから、私が後ろに乗るよ。君は前に。」だって。格好いいぞ、ヴィルジリオ(笑)ダンテを無事に送り届けるようにって上からの命令とはいえ、ダンテに気を遣いすぎだよ、ウェルギリウス・・・!  ダンテはダンテですっかり甘えて、「後ろから抱っこして下さい」って言おうとしてるし…。恐怖で声が出なかったんだけどね。でもツーカーでヴィルジリオパパはちゃんと押さえてくれます。


 というか、第19歌で、

 師(ヴィルジリオ)はやおら私(ダンテ)を両腕にすくい、ぴたり胸に抱きおわると、下りた道をふたたび戻ってゆく。
 肌身離さず私を抱えながら、疲れた様子さらに無く、・・・略・・・師は私を運びあげた。
 そこに師はそっと荷物をおろす。そっとおろしたは、山羊さえ通るをはばかるほどの、こごしく険しい岩の岨道ゆえ

(訳、寿岳文章、集英社、1980年、括弧内はまろりー)

 ・・・これってお姫様抱っこされてない? 絵ヅラ的にキモい…! どうなの、俺の解釈がおかしいの? 訳の問題? なんにしろ、男としてこれでいいのか、ダンテ…。

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日本×フランス

 大分、日が開きましたが、実は、美術展にはもう1つ行っているのです。

 えーと、こちらも東博は表慶館で開催の「フランスが夢見た日本」フランスのジャポニスムテーブルウェア展。いちおうかのオルセーからやってきた。

 結論から先に言えば、直近に見た展覧会の中では一番満足!やっばいよかった。1000円の入館料も妥当。

 内容は、近代フランスの食器の模様に日本の意匠を殆どそのまま写したものがあるので、その証拠に北斎漫画などの元ネタも一緒に展示しますよー、って感じ。

 前半にセルヴィス・ルソーっていうシリーズと、後半でセルヴィス・ランベールっていうシリーズを紹介しています。間にルソー・サービスがバカラのグラスとかと一緒にテーブルにセットされている素敵な再現。

 セルヴィス・ルソーは量産品気味で、皿に置かれた意匠はそれぞれあまり関係なく独立しています。とりあえず北斎描いとけ!みたいな感じ。まあ、実用向けではあるんだけど。
 お皿のふちに目騙し的に蟻さんなど昆虫が描かれていたりするのが洒落ているのか、気色悪いのか。お皿に虫の絵はやめようよ…!
 鶏や鴨の絵も描かれていて、ああ、この上に鶏肉を置くんだろうな、って思ったら案の定しばしばそうしたらしい。ヨーロッパ人は直ぐに動物=食材って発想する気がします。16世紀のオランダの狩猟画とかさ。ただの妄想。

 で、なにより良かったのが、セルヴィス・ランベール。
 アンリ・ランベールという装飾画家が描いたシリーズで、丁寧な絵付けの高級品。使う目的よりも飾りのが重点置かれている感じ。
 意匠はやはり日本の版画からで、暁斎のが多かったかな。暁斎も洒落っ気たっぷりで素敵なんだけど。
 意匠、筆致、雰囲気はほとんど完全に日本。日本人も唸る日本風。なんだけど、色彩がふんわり洋風で、とってもみずみずしいのです。やっぱりジャポン最高ー。
 アンリ・ランベールだけが載っている図版があったら、買うね。ないだろうがね。

 で、で、展示ケースの置き方も好きなのです。
 表慶館の内装は、白い壁に薄い萌黄の窓枠。そこにヨーロピアンなピンクのケースで、その色彩が目に快く。空間としても成功していると思うのです。んー、やっぱり表慶館好きだー。明治の洋館ラーヴ。(大正はに微妙なくせに)

 まあ、お皿自体の値段の差(多分)=クオティの差もあって、ポストカードはセルヴィス・ランベールものばっかりだったんだけど、4、5枚買っちゃった。
 かなり好きだった、ポストカードになってたらぜひ欲しかった、水辺に立つ鷺のお皿の絵は、やっぱりポストカードになっていなかった。あと、松に栗鼠図。畜生ー。


 ついでに法隆寺宝物館に、実は初めて足を踏み入れた。
 外観がMOMAっぽくて格好いい。建物に気合いが入っていていいよ。
 最初の部屋の小さな奉納仏がやたらめったら規則的に並べられた空間は不思議で面白かったな。光背ずらりも楽しい。資料保護のためすんごい暗いけど、その暗さが、博物館然としていて。
 エントランスから見える、景色も結構素敵なんだ。あの和風な門(名前忘れた)と横からみた表慶館の見えるのが、素敵。

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ウィーン美術史美術館展

六本木は新美のウィーン美術史美術館展に行ってきました。サブタイトルは「静物画の秘密」
 出品作品は75点で1500円。ちょっと高いかなーと思ったけど、まあ、友人と行ってみる。

 なんだか、来ている絵自体は全然悪くないのに、あんまり良い展示ではなかったと思う。

 何が悪いのか、なんとなく釈然としない感じで会場を後にした訳ですが、内容について話し合っていくと、
「そもそも何を見にきたんだっけ?」
 って結論になった。
 それくらい、テーマの軸がぶれていたんだと思う。

 冒頭で、ウィーン美術史美術館の立派な美しい建物の大きなパネルを出して、「ウィーン美術史美術館!」って感じだったのに、本編からはオランダのよくある静物画が並ぶ。ウィーン美術史美術館展という割にはウィーン美術史美術館らしさが感じられない。ただ、ウィーン美術史美術館から借りてきた絵ってだけ。
 たぶん、現代風の白くて明るくて広い空間が、雰囲気を邪魔していたのかな。
 で、だからオランダの「黄金時代」的な静物画の展示なんだなーと思って順路に沿って見ていくと、突然イタリアにとんだり、スペインに行ったり、17世紀の絵の間に18世紀の絵がまぎれていたり。まあ、当然各国各時代の絵があって当然なんだけど、なんか脈絡ないんだよね…。
 それはそれで、まだ描かれた画題ごとに分けられた「静物画」だったんだけど。
 そうこうして見ていくうちに、テーマは静物画じゃなくって、いつの間にか風俗画に移っていき、最後はベラスケスのかわいい女の子の大きな肖像画でどーんと終了。

 ・・・静物画の秘密はどこへ…!?

 一応、風俗画に描かれた静物によって、その絵の意味内容が強調され補助される、みたいな説明で、静物画との関連を持たせているつもりなんだけど、・・・静物画の秘密ってほど、秘密じゃない…けど、これがサブタイトルの「静物画の秘密」だったんだろうか・・・?苦しい。

 うーん、静物画はただ描かれただけじゃなくって象徴する意味があるんだよってだけの展示だったのかな?
 これ、誰が企画したんだろう。本当に学芸員の仕事かしら?東京新聞主催らしいけど、何だか新聞の文化欄とかに1ページ挟まれている美術品紹介の記事のよう。


 良かったところは、何年か前、都美館でやった「黄金のオランダ・フランドル絵画展(みたいなタイトル)」でやってきた何枚かの絵に再び出会えたことかな。日本に居ながらにして海外の同じ絵が2度も見られるなんてね。
 いや、やってきた絵自体はどれも素敵なんだよ?イタリアロココの静物画は美しかった(笑)
 だけど、ウィーン美術史美術館展というには弱いし、静物画の秘密展というにも弱い。

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なんせんす・さむしんぐ

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