ティボリ半日観光を終え、ローマ市内に戻ってくる。 2日目午後にしてようやくのベタな市内観光です。この辺りはおおむねガイドブック通り。
本日の行程の主なる目的は、バロック巡り。特にカラヴァッジョとベルニーニとボロミーニを見る、バロックとバロックでバロックなバロック王道の旅。バロック建築がこれで全てではないけれど、一番有名どころだけ狙っていくという、オーソドックスな旅程ってやつです。まあ、ローマ旅行ではこれもやりたかったんだよ!
勿論、ヨーロッパの街並みというものは歩いているそれだけで異国情緒。目的地も、目的地と目的地の間の路地も、等しく観光です。
↓歩ける距離かを測るために利用したグーグルマップ。
露天であちこちお土産絵を売っているナヴォーナ広場から
例のベルニーニの噴水を楽しみつつ、早速チェックに向かうのは、近くのサン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂
何でもローマの教会は、正午頃から3、4時頃まで、お勤めか何かで閉まってしまって観光出来ない。 これは教会巡りしたい身にとっては、厄介な習慣でした。申し訳ないけれど(笑)
しかも、ガイドブックによって記載している開館時間が違っていて、もう現地確認しかない訳です。
さて、3時半に解禁になるというサン・ルイジ・デイ・フランチェージ。まだ時間があるので、近場をうろうろ。
すぐ近くにあるのは、例の有名なパンテオン。
ジョヴァンニ・パオロ・パンニーニ<パンテオン内部>
アグリッパが………作ったらしいよ!(←読めてない)
何だか有名すぎる上に、それ風の絵や版画などを沢山見て、今まででもこれ風のドーム天井や模した空間を何度か目にして、……初めて見る気がしません(笑)
むしろ私の写真より、パンニーニの絵のが分かりやすいよ(笑)
やっぱり、明かり採りの天井の穴からの陽光が素敵だなぁ。天使の彫刻をぱちり。実力を顧みずデッサンとかしてみたい。
一応、ラファエロの墓もお参りなむなむ。
骨董店の並ぶコロナリ通りをテヴェレ川に向かいます。コロナーリ通り。
そこを抜けてテヴェレ川沿いを歩くと、サン・タンジェロ城。もっと時間があれば中にも入りたかった、ハドリアヌス帝の霊廟です。
橋の上の天使の列のどれかがベルニーニの彫刻のコピーだとか…。どれかと分かるほどには勉強していません。
でも天使の並んだ橋で、いちいちの天使がいちいちポーズ決めていて、面白かった。
イタリアに来てから天井や空を見上げてばかり。結局これは旅行中だいたいそうなんだけれど。
この街の人達は、昔からこんな風に下から立体的な人体を仰視する体験にすっかり慣れていて、それが天井画で仰角に描くときも有利に影響したんだ、きっと。
大体、あの曲面の天井に下から見て破綻なく窓やら人体やらを描けるのが魔法のようだ。
橋の上の眺望。テヴェレの眺め。ザ・ローマ。まるで絵のようなザ・イタリア風景。
だから、絵がローマのような風景を描いているだけであって、ローマが絵のようである訳ではないのだけど、やはり絵のようだという賛辞を贈らざるを得ない。
さて、サン・ルイジ・デイ・フランチェージ。
何故ここに行きたいかというと、
これだ!カラヴァッジョの聖マタイ!
……写真下手過ぎですよね…! もう、感動のあまり手が震えて撮れなかった、とかいうことにして下さい。絵も聖堂内も暗いめで、どうしてもピント合わせてくれなかったデジカメ。
最終的に、小さな液晶越しに絵も見ているのが馬鹿らしくなって、綺麗に撮ることは諦めた。有名だから綺麗な図版も他にあるし。
激しい明暗を描くカラヴァッジズムというやつは、やはり心を打つものです。
有名で美しく大きな図版が沢山あるからといって、それが本物を見ない理由にはならない。特にこういう絵はこの聖堂のこの場所に設置されている価値もあるから、仮にひっぺがして日本で大々的に巡回展をしたとしても、やはりこの場所で見たいのです。……もっとも、日本に来るなんてそんな事が起こったら、大喜びで見に行くけどね。
サン・ルイジ・デイ・フランチェージのフランス王家っぽい?内装とオルガン。オルガンを天使が支えてるのが大好きだ。
さて、ようやく教会が空く時間。
パンテオン辺りからテルミニ駅方面に徒歩で向かいます。
次の目的地は、クィリナーレ通りにあるサン・タンドレア・アル・クィリナーレ。ベルニーニの設計によるバロックの聖堂です。
途中の道にちょうど良くトレヴィの泉。とりあえず、小銭を投げ入れてみる。
とりあえず地図で見て最短と思しき道を選んで通って来たけれど、これは多少失敗しました。
クィリナーレ宮殿のあるクィリナーレの丘を越えて行くのですが、予想以上の傾斜。少なくとも東京都心ではきっと滅多にお目にかかれないくらいの急斜面です。それを直線距離で数十メートル行くのに、登ったり降りたり登ったり登ったり降りたりした。
街路樹のオレンジ。下の方、人間の手が届く辺りの実が無くなっているのはやはり……。
さて、サン・タンドレア・アル・クィリナーレに到着。
空間は小ぢんまりしている。例の楕円の丸天井に彫刻が浮いたり腰掛けたり、精霊の鳩の居る明かりとりの天窓からケルビムが溢れたりしている。
アンデレの磔にされている祭壇画など、放射状の神々しい光線が彫られています。いかにもバロックな。日常使いには少し大仰かも知れませんが、宗教的昂揚感を煽るような超常的な光の筋をも表現した彫刻。バロックですね。わーい本場の現役の生バロックだ。
次はすぐお隣の聖堂、クィリナーレ通りとクアトロフォンターネ通りの交差点に四つの泉の彫刻のあるサン・カルロ・アッレ・クアトロ・フォンターネ。
サン・カルロ・アッレ・クアトロ・フォンターネですとも!
サン・カルロ・アッレ・クアトロ・フォンターネ聖堂はベルニーニのライヴァル、ボロミーニの設計で、昨日訪れたバルベリーニ美術館、あのボロミーニの階段は見なかったバルベリーニ美術館にもすぐ近く。
…早口言葉みたいで舌を噛みそうです。
これだけ歪んでいても、実は古典建築のオーダーは守られているのだとか 入り口は、その有名さに比べて意外なほど間口が小さい。
中に入ると清廉とした白。
リズミカルな白。
やはり大きな空間ではないけれど、楕円の天井と聖霊の描かれた明かり採りから、堂全体に清らかな白い光が広がっています。
なんて親密な無彩色だろう! なんと隔絶した白だろう。
先ほどのベルニーニの金と天井に張り付いた彫刻とは違って、何も添加した飾りはありません。が、中心になるほど小さくなる幾何学模様の陰影が装飾になっている。
場所も建てられた時も近い2つの聖堂ですが、それぞれの建築を貫く理念は全く違う。……これはベルニーニとボロミーニ、仲悪そうだな。
名残を惜しみつつ、そのまま真っ直ぐ、9月20日通りを進み、サンタ・マリア・ヴィットーリア聖堂。目的はもちろんこれ。このベルニーニ劇場が見たかった…!
これを見ずして、バロック巡礼ツアーにはなりません。いや、この旅程だって十分とは言えないけど(笑)
もしこれを、本当にこの場所から剥がして彫刻だけ展示して、裏からも横からも見れます、なんてことをしたら、どうだろう? やはり大喜びで見に行くけど。
ベルニーニの有名な彫刻だけでなく、内装はどこもかしこも装飾だらけで超面白い。
天井画は、なんとかして建築の構造からはみ出ようとしている。
たとえば天使の舞い飛ぶオルガン。
本当にローマの街は、ベルニーニの街です。何かと言うとベルニーニです。
聖堂のすぐ近くにエジプト風のライオン噴水と角のあるモーゼ立像。口から水をぴゅーと出してるライオンかわいい。
テルミニ駅の方へ向かうと、ミケランジェロが屋根を設計したという、古代のディオクレティアヌス帝の浴場跡を転用したバシリカ。遺跡っぽさは残りつつ、見事に現役の建物として修復されている。
そんな遺跡っぽいの外見のぼろさからは想像出来なかった高く広い十字の大空間に驚く。
その聖堂の脇にある古代遺物の博物館(多分)にもふらり。
夕方はもう閉まっていましたが、ただ前庭には浸入出来ました。
小さくも面白い庭で、古代の発掘品を庭園装飾としてバランス良く並べている。こういう庭って本当にいいなぁ。
本当にピラネージの破片の絵みたく、あちこちに整理しきれていないちょっとした遺物がごろごろ転がしてあります。冬の白い花咲く草の上に、無造作に横たえてある柱の数々、など。
円柱に棚を渡して、蔓草を這わせてあります。…この柱も発掘品なんだろうなぁ…。遺跡の発掘品を実生活へ転用するユベール・ロベールの名残を見た気がしたのでした。
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おまけ庭の噴水にて。よくある世界猫歩き(笑)